老医師の仕事(2)在宅医療(2018/09/20)
103歳の女性、認知症も少しずつ進行しており、息子夫婦と同居している。50年以上住み慣れた自分の部屋にこだわりを持っている。小堀医師はそのあたりをよく理解していて、「ここはあなたのお城なんですね。この桐の箪笥など今は見かけないですね・・・」
体調を崩して下痢が続き、失禁するようになった。家族は夜通しの介護に疲れ果てており、限界に近づきつつある。ショートステイを勧めて、やっと納得してもらった。「私が居なければ、楽だということはわかっているの」と寂しげに答える。
そのあとは長期療養の施設に移る段取りまでは話していないが、本人はうすうす感じているようである。
施設からの迎えに来た車に歩いて乗る後ろ姿は何ともわびしく、「長生きも考えものだなあ」という気持ちになった。
52歳のがん末期の寝たきりの女性を77歳の母親が一人で介護している。薬(抗がん剤かな)を飲むと吐き気がひどくなる。医局に引き返して最も適切な鎮吐剤を調べる。ご本人とよく相談しながら薬の種類や注射にするかどうかなど決めている。
85歳の足の悪い認知症の奥さんを82歳の夫が看病している。ポータブル便器に座らせるにも重労働である。通所介護や訪問介護、施設に預けたらどうかと言われるが、そのお金もない。やっと納得して、訪問看護師とケアマネが相談にみえる。まさに老老介護である。が、そのような事例ばかりである。
最後のケースに、もっとも時間を割いていたが感動的な内容だった。
84歳の末期の肺がんの父親を全盲の娘が介護していた。チカゾウさんは運送会社に勤めていたが、7年前に脳梗塞で臥せっていた妻を昨年、看取っている。自分が臥せってからは親戚が何かと世話を焼いてくれていたが、「あんたの人徳だよ」と称えられていた。
娘さんの広美さんは47歳、7歳の時に失明している。小堀医師も共感を強く感じられたのか、診察でなくても何かと理由を付けて様子を見に行っている。そして「治らない病気だから覚悟して」と、父親を看取る準備を少しずつ話していく。「分りました」と答えるが、「本当にわかっているのかな」と不安になる。でも家族は、希望と不安を抱えながら、次第に受け入れていくものである。
チカゾウさんの食事も盲目の広美さんが料理している。叔母さんが何でもできるようにと、手を取って教えてくれる。うどんをつくって父親が食べるシーンが写されていたが、美味しそうに食べていた。
病院側も入院を勧めるが、「不自由な娘がいるので入院はしたくない」とチカゾウさんは考え、娘は「父の思い通りにしてあげたい」と、入院することを頑なに断っている。
庭の大きな柿の木が映し出される。家を建てた時に一緒に植えた柿である。小堀医師も昨年はもらって食べたが、「赤くなったら自分でもいで食べていいよ。持っていきなよ」と布団に伏せたチカゾウさんが声をかける。「てっぺんの所の柿は赤くなっているけど、わたしゃ高所恐怖症でね」と小堀医師。
ある時、娘さんから「床擦れができた」との報告。小堀医師が訪ねると、肋骨の部分が痒くて、広美さんが頑張って掻いてくれたのだとわかった。「広美さんが掻きすぎたんだよ。ここは床擦れが出来る場所じゃないもん」。またチカゾウさんの尿器を盲目の広美さんが持ってトイレに行く場面も映し出される。
体調を崩して下痢が続き、失禁するようになった。家族は夜通しの介護に疲れ果てており、限界に近づきつつある。ショートステイを勧めて、やっと納得してもらった。「私が居なければ、楽だということはわかっているの」と寂しげに答える。
そのあとは長期療養の施設に移る段取りまでは話していないが、本人はうすうす感じているようである。
施設からの迎えに来た車に歩いて乗る後ろ姿は何ともわびしく、「長生きも考えものだなあ」という気持ちになった。
52歳のがん末期の寝たきりの女性を77歳の母親が一人で介護している。薬(抗がん剤かな)を飲むと吐き気がひどくなる。医局に引き返して最も適切な鎮吐剤を調べる。ご本人とよく相談しながら薬の種類や注射にするかどうかなど決めている。
85歳の足の悪い認知症の奥さんを82歳の夫が看病している。ポータブル便器に座らせるにも重労働である。通所介護や訪問介護、施設に預けたらどうかと言われるが、そのお金もない。やっと納得して、訪問看護師とケアマネが相談にみえる。まさに老老介護である。が、そのような事例ばかりである。
最後のケースに、もっとも時間を割いていたが感動的な内容だった。
84歳の末期の肺がんの父親を全盲の娘が介護していた。チカゾウさんは運送会社に勤めていたが、7年前に脳梗塞で臥せっていた妻を昨年、看取っている。自分が臥せってからは親戚が何かと世話を焼いてくれていたが、「あんたの人徳だよ」と称えられていた。
娘さんの広美さんは47歳、7歳の時に失明している。小堀医師も共感を強く感じられたのか、診察でなくても何かと理由を付けて様子を見に行っている。そして「治らない病気だから覚悟して」と、父親を看取る準備を少しずつ話していく。「分りました」と答えるが、「本当にわかっているのかな」と不安になる。でも家族は、希望と不安を抱えながら、次第に受け入れていくものである。
チカゾウさんの食事も盲目の広美さんが料理している。叔母さんが何でもできるようにと、手を取って教えてくれる。うどんをつくって父親が食べるシーンが写されていたが、美味しそうに食べていた。
病院側も入院を勧めるが、「不自由な娘がいるので入院はしたくない」とチカゾウさんは考え、娘は「父の思い通りにしてあげたい」と、入院することを頑なに断っている。
庭の大きな柿の木が映し出される。家を建てた時に一緒に植えた柿である。小堀医師も昨年はもらって食べたが、「赤くなったら自分でもいで食べていいよ。持っていきなよ」と布団に伏せたチカゾウさんが声をかける。「てっぺんの所の柿は赤くなっているけど、わたしゃ高所恐怖症でね」と小堀医師。
ある時、娘さんから「床擦れができた」との報告。小堀医師が訪ねると、肋骨の部分が痒くて、広美さんが頑張って掻いてくれたのだとわかった。「広美さんが掻きすぎたんだよ。ここは床擦れが出来る場所じゃないもん」。またチカゾウさんの尿器を盲目の広美さんが持ってトイレに行く場面も映し出される。
