Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

なくなっていくもの(後)(2018/09/05) 

駅ナカ店舗が改装するたびに本の棚が縮小され、端に追いやられているそうだ。駅ナカで売れている雑誌では週刊誌と漫画誌が9割を占めていたが、スマートフォンなどの普及で電車内で雑誌を読む人が激減したそうである。私はキヨスクでは新聞か文芸春秋などを買うことが多いが、最近の電車内の光景ではほとんどの人がスマートフォンと「対話」しており、読書している人は見かけなくなった。かくなる私も、ミステリー小説などの文庫本などをキヨスクで買うことは少なくなった。 
   もう一つの気がかりな変化は、買い物のキャッシュレス化である。同じように日経新聞ではこの問題を連載で取り上げている。個人的にはカードで決済することはなく、いつも現金を持ち歩いている。便利なことは確かであるが、漠然とした不安が付きまとう。日本では決済に占めるキャッシュレス比率が18%と、60%の中国に比べるとまさに途上国なのである。
   またインドでは富裕層の不正な蓄財を防ぐために高額紙幣をなくしたが、もう一つの狙いは「デジタル・インディア」だという。経済成長をけん引するITの一つとして、スマホや指紋などの生体認証によるキャッシュレス決済が広がっているという。
   また30日の日経には「さらば銀行口座」という見出しである。「海外では20億人が銀行口座を持っていない」そうである。日本でも「給料は現金もしくは口座振り込みで支払わなければならない」という労働基準法による規制が緩和されれば、決済アプリで受け取る時代になりそうである。給料が現金から口座に変わった時には少し違和感を感じたが、今ではそれが普通のこととなっていることを考えれば、近い将来そのようになっていくのかも知れない。。
   キャッシュレス化には隠された意図があり、ビッグデータの集積に使われることだという。買ったもの、値段、個数、天気、時間、キャッシュレスは、あらゆる買い物をデータ化できる。アリババ会長の馬雲が「現代の石油になる」と公言するビッグデータが蓄積できるのである。私たちの買い物は常に「監視」されているようなもので、半永久的に履歴が残ってしまう。
   身近なところでは、8月30日から南風病院のスカイレストラン「空」でも券売機に新しいものが導入されていて驚いた。カードが使えるようになったのである。職員の福利厚生を意図したものだが、ビッグデータにも使えることになる。私が何時ごろにほとんど毎日、ランチBを食べていることや嗜好なども歴然とわかるようになる。もしこの情報がカード会社の手に入れば、さまざまな勧誘食品の材料にも使えることとなる。