Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

種子島での医療相談(2018/11/12) 

難病相談支援センターの仕事の一つに医療相談がある。普段はセンター内で行われるわけだが、離島の方はそのチャンスを作りにくいので、こちらから出張することにしている。
   種子島にはここ数年、毎年のように出かけている。種子島は人口3万を少し超える島だが、数年前にはどういう訳かALSの患者さんが8人もおられた(先日お聞きしたところでは、現在は4人になっているという)。そのためALS患者宅の訪問を中心に計画を作っていた。
   今回は西之表保健所の招きで、西之表市でパーキンソン病の医療相談をすることとなった。
   11月5日、朝南風病院で健診をそそくさと済ませた後、10時20分発のトッピーに乗り込んだ。月曜日ということもあって乗船客はさほど多くはない(帰りの便も閑散としていた)。いつもはセンターの保健師が同行してくれるのだが、今回はセンターの仕事ではないので単身である。天気も良く、錦江湾は鏡のように波静かでほとんど揺れない。鹿児島県の地図を書くときには桜島を真ん中にして、薩摩半島と大隅半島をほぼ同じ長さにしてしまうが、実際に船に乗ると東シナ海に突き出ている部分は大隅半島の方が圧倒的に長いことに気づく。
   11時55分に西之表港に到着した。保健所の前田さん(放射線技師だという)と新人の若くて元気な保健師の牧ノ瀬さん(この4月からの採用で、難病と感染症が担当だという)の二人が迎えに来てくれていた。早速、昼食に連れて行ってもらったが、ここは一昨年と同じ食堂で焼き物なども陳列している。しめものなどおふくろの味で、今回は今朝獲れたというきびなごの刺身までついている。有難く賢明な場所選びである。
   12時半ごろに、市役所の近くの市民会館に到着。センターで5年間一緒に働いたことのある五反田さんが、転勤でこの4月から西之表保健所で働いておられた。早速、会いに来てくれて一時間ほど楽しい会話が続いた。私のスマートフォンをみて「あの時に買ったものですね」と言われて、彼女の記憶力の良さに驚く。ガラケイをなくしたと思って(あとで出てきたのだが)慌てて天文館のドコモショップで買ったのだった。センターで働いていた頃、電話番号を一度聞くと覚えていることに驚かされたものである。
   また難病の認定業務の話になり、昨年から今年にかけて、経過措置で指定難病から外された人の不満に、各保健所やセンターでは頭を悩ますことが多いのに、この種子島では皆無だという。「人情なんですかね、不思議です」と五反田さんは言われていた。帰り際、ピーナツ黒糖や安納いものケーキなどのお土産ももらってしまった。
   また西之表保健所長の阿辺山先生も挨拶に来られて、私の講話も聴いてくれた。親友の丸山先生の教室で研究に取り組まれていたこともあるということで、若くて有能な先生が地域の保健業務に生きがいを見出されていることを頼もしく感じた。
   13時45分から「パーキンソン病について」の講話を、そして休憩をはさんで交流会となった。参加者は患者さん本人が6人、そして家族、地域包括支援センターのスタッフや介護支援専門員などである。顔なじみの患者さんもおられ、姪御さんと一緒に来られた78歳の男性は「一人暮らしがよか」ということで、かなり重度な状態で在宅療養を続けておられるようである。夕張市と同様に、島にはまだ地域での「絆」があるからできることだろうと思う。