Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

平成から令和の時代に(5)(2019/05/17) 

東大名誉教授の御厨 貴(みくりや たかし)氏は「自然災害について役人より詳しい」というタイトルで、東日本大震災復興構想会議の議長代理として御説明に上がったときのことに触れておられる。
         その時、圧倒されたのは、平成に起きた自然災害について、両陛下が驚くほどお詳しいということでした。具体的な話になるとすぐに「あの時の震災のあそこと同じかしら?」と、こちらが存じ上げないようなお話にもなる。両陛下は被災地を継続的に、御自身の目と耳でご覧になってきました。すでに起きたことだけでなく防災にも関心をお持ちで、さまざまな対策を現地で視察されている。だから担当が入れ替わる役人よりも、よほど詳しいのです(終)。
         御厨氏はひととき、テレビに出ずっぱりの学者だったが、また復興構想会議の議長代理としての言葉だけに、いかに両陛下が自然災害に真正面から退治されて来たかがよく理解できるエピソードである。
         大阪大学教授の大竹文雄氏は「サクランボの食べ方のマナー」と題する一文を寄稿している。
         2008年6月に学士院賞授賞式で両陛下にお会いしました。授賞式の後、皇居でお茶会です。サクランボが六つと白い和紙を筒状にしたものが一つ、皿の上に乗っています。天皇陛下がその筒を左手に軽く握って「どうぞ召し上がれ」とおっしゃいました。私はサクランボを口に入れたのですが、タネを出さなければなりません。困っていたところ、皇后陛下が私の様子を見て「こう」とおっしゃって、白い筒を口に近付けてその中にタネを出されました。サクランボの食べ方のマナーを皇后陛下に教えてもらうという貴重な体験をしたのです。・・・
        それから8年後に、両陛下に皇居で、私を含めて3人の学者が非公式に学問の話をする機会がありました。この時も6月です。またサクランボが出るかもしれないと思っていました。皇后陛下が部屋にいらした時に、「8年前もお会いしましたね。私が覚えていたわけではなく、いただいた書類に書いてありましたので」と話しかけられました。
しばらくするとデザートの時間です。ショートケーキでした。サクランボではないか、と思っていたところ、もう一皿が。サクランボの佐藤錦でした。やはり和紙の筒がありました。そこで皇后陛下が最初にタネの出し方を教えようとされた瞬間に、「8年前もお教えしましたね」と思い出していただけました。サクランボとともに私のことを記憶して頂けたと思います(終)。
        大竹氏はNHK『オイコノミア』で芥川賞作家となった又吉直樹さんと、日常生活のあれこれを経済学の視点から見直す番組を担当していた。さくらんぼにまつわる逸話としてほほえましい。