Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

薩摩総研(2015/04/16) 

南日本新聞の「創生策を聞く~鹿児島トップの考え~(2015年3月8日)」は連載ものであるが、第二回目の薩摩総研社長古川正司(まさし)の項は興味深く、なるほどと感じながら読んだ。
 古川さんは1950年の生まれで、1972年に京セラに入社、75年国分工場に、2002年に退社、そしてこの会社を2005年に創業されている。現在は従業員14人という小さな会社で、熱伝導エポキシ樹脂の開発を行っている。何となく、京セラ創業者の稲森氏にダブってしまう。 「もともと京セラの技術者だったが、定年前に退職し施着剤・樹脂の研究を続けていた。電子機器の小型化で、内部から素早く熱を放出する必要性が高まっており、需要に応えたいと取り組んだ」という。もともとは滋賀県に出身であるが、履歴から推し量ると大学卒業後3年ほど本社勤務の後、25歳ごろから鹿児島に移り住んでいることになる。
 鹿児島に会社を立ち上げたのは「退職後に以前からあこがれていた、環境のいい指宿市に移ってきた。真面目で温かい人に恵まれ、地代も安い」と鹿児島県民の私にはうれしい言葉である。
 ホームページを見ると、社是として「利他」を挙げ、経営理念には次のような言葉を掲げている。
・和と礼儀を重んじ、社会全般からもっとも信頼される会社であり続ける。
・製品改良をたゆまず図り、お客様に最も信頼される会社であり続ける。
・全従業員が希望と誇りを持ち、一生かけて悔いることがない職場を築き続ける。
 三つの経営理念はいずれも普通の言葉であるが、三つ目の全従業員が・・・の部分は、京セラの理念と似ている。もちろん現実は思い通りではないことも多く、南九州病院に勤めていた頃、「京セラの下請け工場は厳しいノルマがあり、辞めていく人も多い」と聞いたこともある。
 また同じ記事で、古川さんは「採用の際に重視するのは、技術の有無よりも正直で素直であること。仕事への熱意はこちらの働きかけ次第で出てくる」という話も全く同感できる。最近の講演では何度も繰り返しているが、人が社会で仕事をしていく時には認知能力(知能など)より非認知能力(性格など)が重要であり、後者は後年になってからも本人のやる気次第に変えられし、伸びしろも大きい。
 また「利他」の考え方も重要で、結局私たちの仕事の基本には「社会貢献」という考え方がないと本当にいい仕事を長期間にわたって続けていくことはできないと考える。