新しい若い仲間たちへ(2015/04/02)
昨日は50数名の新人職員が入職し、辞令交付を受けた。4月1日から「南風大家族」の一員である。一日も早く環境に慣れ、仕事にも習熟し、大きな戦力として南風病院の発展のために尽くしてほしい。
昨日の日経新聞の「社説」では、「新人と向き合う職場づくりを」というタイトルで多様化する若者の仕事観とどのように向き合うべきかを論じている。ある調査ではその仕事観が、従来は「人のためになる仕事をしたい」や「社会に貢献したい」から「楽しく働きたい」とか「個人の生活と仕事を両立させたい」に変わってきているという。大きな夢より、手の届く充実を求めたいのだという。でも南風病院の新職員には、我々の仕事は常に「社会への貢献である」という真理は忘れないでいてほしいと願っている。
時代は変わっても、人の考え方がそんなに変わるものではないと信じている。2008年に一年間、南日本新聞の客員論説委員として「論点」に書かせてもらった4月号を、下記に転載する。高度経済成長期の「スパルタ式」発想を引きずるものかもしれないが、その意を汲んでほしいと願っている。
新しい若い仲間たちへ(論点から)
四月は多くの若者にとって、入学・入社と人生の門出となる季節である。そこでひとこと申し上げる。早々に道徳や説教では若者からのブーイングが聞こえてきそうであるが、「後悔先に立たず」という事態は避けたい。先達の教えが後になって少しは役立つこともあろう。ただ「勤勉」を素直に善として受け入れた団塊世代の繰り言として、読み流してもらっても結構である。
我田引水で申し訳ないが、医療現場を念頭におきながら、自戒の念も込めて筆を進めよう。
まず、「人生は思い通りにはいかない」と心得るべきで、希望の学校に入れなかったり、思っていた会社に就職できないこともある。昔から日本では「ご縁を大切に」といわれるが、確率的には極めてまれな縁で一緒に学んだり、働いたりする仲間となったわけで、まずは与えられた環境で自分の力を試して欲しい。目標を定め、その実現のためにベストを尽くそうではないか。
ところがこの自己実現の様式も、時代とともに変わりつつある。戦後から高度経済成長期までは、会社(組織)にひたすら忠誠を誓うことで、年功序列制度のもと着実な昇進と賃金の上昇が保証されていた。すなわち個人は組織から、自尊心や自己実現といった高次な欲求を満たしてくれる糧を得ることができたのである。ところが現在では、報酬も年俸制や契約制へと移行し、組織は働きやすい環境の整備を行うことで、個人が仕事の成果で自己実現を果たすための後押しをするようなスタンスに変わってきている。そして個人は、もっと条件の良い職場があれば異動することも躊躇しない。
ところが最近では、仕事に生き甲斐を感じない若者が増加し、生活尊重派が仕事優先派を上回っているという調査結果もある。確かに仕事と生活の調和は難しいことを認めるにしても、若者には仕事を通しての自己実現の達成を望みたい。
人生は一度きりだし、後戻りはきかない。そして、入職後の数年で大方の人生は決まってしまう。「石の上にも3年」といわれるが、入職後少なくとも3年間は辞めないで欲しい。2005年度の鹿児島県の新卒看護師の離職率は11.7%(全国平均9.3%)と非常に高い。フリーターの急増という昨今の風潮に影響を受けたわけでもないだろうが、3年間の厳しい実習や国家試験に合格して就職したわけで、一年足らずで辞めるとはいかにももったいない気がする。どの仕事でもいえることだと思うが、技術的な習得には少なくとも3年間は辛抱しないと身につかない。逆ないい方をすれば、3年間働けばある程度一人前になれるわけで、結婚や育児などで休職しても、復職しようと思ったとき比較的スムースに職場復帰できるということになる。隣の芝生は、いつも青くきれいに見えるもののようである。
次に、現代日本を覆っている物質文明の弊害とでもいうべきか、モノやカネへの欲望だけが喧伝され、ともすると心の豊かさが失われがちな時代にある。私たちは病める人の健康への手助けのできる、医療人という誇り高い仕事に就くチャンスを得たわけである。人と係わることの楽しさ、その人と苦しみを共に乗り越えたときの喜びなど、このような仕事だからこそ味わえるものである。
目まぐるしく変わっていくこの時代では、一人一人の価値がかってないほど重要になってきている。組織を生かすも殺すも、「ジンザイ」次第といえる。 あるセミナーで、「ジンザイ」について論じていた。横軸が専門的(スキル)で、縦軸がやる気(マインド)というスライドを提示しながら、両方とも揃った人がまさしく「人財」両方とも欠ける人は「人罪」と手厳しい。そしてマインドはあるがスキルがない人は「人材」、スキルはあるがマインドがない人は、ただそこにいるだけの「人在」となる。せめてマインドだけは、人に負けない「人材」となろう。「できる、できない」より「やってくれる、してくれる」人である。
最後に、仕事は楽しくなければ長続きしないし、いい仕事もできない。現在の医療はチーム医療そのものであり、多職種そして同僚とのチームワークが基本になる。互いに少しずつ譲り合う気持ちをもって、「FOR OTHERSの精神」で今日の仕事に取り組んで欲しい。
昨日の日経新聞の「社説」では、「新人と向き合う職場づくりを」というタイトルで多様化する若者の仕事観とどのように向き合うべきかを論じている。ある調査ではその仕事観が、従来は「人のためになる仕事をしたい」や「社会に貢献したい」から「楽しく働きたい」とか「個人の生活と仕事を両立させたい」に変わってきているという。大きな夢より、手の届く充実を求めたいのだという。でも南風病院の新職員には、我々の仕事は常に「社会への貢献である」という真理は忘れないでいてほしいと願っている。
時代は変わっても、人の考え方がそんなに変わるものではないと信じている。2008年に一年間、南日本新聞の客員論説委員として「論点」に書かせてもらった4月号を、下記に転載する。高度経済成長期の「スパルタ式」発想を引きずるものかもしれないが、その意を汲んでほしいと願っている。
新しい若い仲間たちへ(論点から)
四月は多くの若者にとって、入学・入社と人生の門出となる季節である。そこでひとこと申し上げる。早々に道徳や説教では若者からのブーイングが聞こえてきそうであるが、「後悔先に立たず」という事態は避けたい。先達の教えが後になって少しは役立つこともあろう。ただ「勤勉」を素直に善として受け入れた団塊世代の繰り言として、読み流してもらっても結構である。
我田引水で申し訳ないが、医療現場を念頭におきながら、自戒の念も込めて筆を進めよう。
まず、「人生は思い通りにはいかない」と心得るべきで、希望の学校に入れなかったり、思っていた会社に就職できないこともある。昔から日本では「ご縁を大切に」といわれるが、確率的には極めてまれな縁で一緒に学んだり、働いたりする仲間となったわけで、まずは与えられた環境で自分の力を試して欲しい。目標を定め、その実現のためにベストを尽くそうではないか。
ところがこの自己実現の様式も、時代とともに変わりつつある。戦後から高度経済成長期までは、会社(組織)にひたすら忠誠を誓うことで、年功序列制度のもと着実な昇進と賃金の上昇が保証されていた。すなわち個人は組織から、自尊心や自己実現といった高次な欲求を満たしてくれる糧を得ることができたのである。ところが現在では、報酬も年俸制や契約制へと移行し、組織は働きやすい環境の整備を行うことで、個人が仕事の成果で自己実現を果たすための後押しをするようなスタンスに変わってきている。そして個人は、もっと条件の良い職場があれば異動することも躊躇しない。
ところが最近では、仕事に生き甲斐を感じない若者が増加し、生活尊重派が仕事優先派を上回っているという調査結果もある。確かに仕事と生活の調和は難しいことを認めるにしても、若者には仕事を通しての自己実現の達成を望みたい。
人生は一度きりだし、後戻りはきかない。そして、入職後の数年で大方の人生は決まってしまう。「石の上にも3年」といわれるが、入職後少なくとも3年間は辞めないで欲しい。2005年度の鹿児島県の新卒看護師の離職率は11.7%(全国平均9.3%)と非常に高い。フリーターの急増という昨今の風潮に影響を受けたわけでもないだろうが、3年間の厳しい実習や国家試験に合格して就職したわけで、一年足らずで辞めるとはいかにももったいない気がする。どの仕事でもいえることだと思うが、技術的な習得には少なくとも3年間は辛抱しないと身につかない。逆ないい方をすれば、3年間働けばある程度一人前になれるわけで、結婚や育児などで休職しても、復職しようと思ったとき比較的スムースに職場復帰できるということになる。隣の芝生は、いつも青くきれいに見えるもののようである。
次に、現代日本を覆っている物質文明の弊害とでもいうべきか、モノやカネへの欲望だけが喧伝され、ともすると心の豊かさが失われがちな時代にある。私たちは病める人の健康への手助けのできる、医療人という誇り高い仕事に就くチャンスを得たわけである。人と係わることの楽しさ、その人と苦しみを共に乗り越えたときの喜びなど、このような仕事だからこそ味わえるものである。
目まぐるしく変わっていくこの時代では、一人一人の価値がかってないほど重要になってきている。組織を生かすも殺すも、「ジンザイ」次第といえる。 あるセミナーで、「ジンザイ」について論じていた。横軸が専門的(スキル)で、縦軸がやる気(マインド)というスライドを提示しながら、両方とも揃った人がまさしく「人財」両方とも欠ける人は「人罪」と手厳しい。そしてマインドはあるがスキルがない人は「人材」、スキルはあるがマインドがない人は、ただそこにいるだけの「人在」となる。せめてマインドだけは、人に負けない「人材」となろう。「できる、できない」より「やってくれる、してくれる」人である。
最後に、仕事は楽しくなければ長続きしないし、いい仕事もできない。現在の医療はチーム医療そのものであり、多職種そして同僚とのチームワークが基本になる。互いに少しずつ譲り合う気持ちをもって、「FOR OTHERSの精神」で今日の仕事に取り組んで欲しい。
