仙台での日本難病医療ネットワーク学会(中)(2015/11/19)
先生のクリニックは住宅街にあり、木造の二階建で一階が歯科の診察室、二階は当初は住居だったらしいが、現在は小さな2匹の犬のための犬小屋と歯科医師の医局になっている。 一階の診察室では先生方はまだ治療中だったが、受付のいかにも健康美人というような明るい女性と博恵先生の二人に案内してもらった。「私は廊下を作らない方針で」という考えから物品が狭いが機能的で清潔な配置で整理整頓されている。開所以来25年の歳月を経て、日ごろの「カイゼン」の積み重ねの結果、使い勝手をよくされていった足跡がよくわかる。さまざまな書類もよく整備されており、監査の時など迅速に必要な書類をとりだされるという感じである。患者からのご意見箱の内容も見せてもらったが、良いこと悪いことが率直に書かれていて、「ここまでになるまで10年かかりました」と先生は言われていた。一言で言えば、普通にやるべき事を手を抜くことなく普通にされていることがすごいことだと思った。翌日の大阪での医療安全のアドバンスコースの講演で、寺井美峰子先生(名古屋大学)は次のように述べられていたが、文字通り五十嵐クリニックに符合することだと思った。
「手順、すなわちやるべきことをきっちりと実践すること。各職場の第一線の人々が使命感と責任感をもって、日常活動の定常業務で、『やるべきことをきっちり実施する能力』は現場力であり、日常管理の課題である」「現場力と日常管理が環境適応的に適切に実施されるようにするのは第一線の人々だけでなく、マネジメントの課題である」。
五十嵐歯科クリニックのホームページで検索すると、その挨拶には次のように書かれている。
当クリニックでは、ライフステージに合わせた治療の提案をしています。人生を通し患者さんの状況に合わせた治療を、事前に十分にカウンセリングをして、ご納得されてから初めて治療を行ないます。スタッフ全員が患者さんとのコミュニケーションを第一に考えて、 良きパートナーになれるように努力しています。あなたのファミリードクターとして生涯を通じたお付き合いさせてください。
車の中で、先生は次のような話をされた。
もうずいぶん昔のことですが、ちょっと気難しそうな紳士が歯周病の治療に来られました。歯垢を除去することが先決であると考え、そのような処置をしたのですが、その男性は明らかに物足りなさそうにしながら帰られました。でも今でもずっと、何かあると私のクリニックを受診されています。
まさにライフステージに合わせた治療だと思う。私自身も昔、歯周病に悩まされていた時期があった。私が通っていた歯科医は、歯肉切除というような大胆な処置を施され、口の中が真っ赤になった苦い経験を思い出す。ライフスタイルを重視した根本的な処置をせず、昔の歯科医はすぐに抜歯などの処置に走ることが多かったように思う。私の経験からも、歯科こそ生涯にわたって信頼おけるホームドクターの存在が重要である。
先生はあの3:11の大震災の時に警察署からの依頼を受けて、100例を超える身元不明者の遺体の歯や口の中の状況の検案を行う中で、大きく人生観もかわったという。若くお見受けするが、聞いて見るともう50歳を超えておられる。ただ自らの夢の実現に向かって踏み出そうとする意気込みを熱く語るときには、永遠の夢見る少女と称したいような感を持った。
帰ってから次のようなメールを頂いた。
開業医になり院長をしていると、何かを削いで何かを捨てて生きた方が楽になります
そんなお医者さんや歯医者をたくさん見てきました。大学や病院に勤務していた時は信念が沢山あっても、開業すると信念が減っていきます。気落ちしそうになると、先生のメールが役立っています。
先生のメ-ルの先には、たくさんの現場で踏ん張っている方々がいて、いつのまにか一緒に頑張ろうという気持ちにさせていただけます。震災で100人を超えるご遺体と向き合いながら、地域医療の根源的な有り方を本気で考えることにもなりました。苦労のし甲斐のある新しい課題に、残りの人生をかけてみたいと思っています。
「手順、すなわちやるべきことをきっちりと実践すること。各職場の第一線の人々が使命感と責任感をもって、日常活動の定常業務で、『やるべきことをきっちり実施する能力』は現場力であり、日常管理の課題である」「現場力と日常管理が環境適応的に適切に実施されるようにするのは第一線の人々だけでなく、マネジメントの課題である」。
五十嵐歯科クリニックのホームページで検索すると、その挨拶には次のように書かれている。
当クリニックでは、ライフステージに合わせた治療の提案をしています。人生を通し患者さんの状況に合わせた治療を、事前に十分にカウンセリングをして、ご納得されてから初めて治療を行ないます。スタッフ全員が患者さんとのコミュニケーションを第一に考えて、 良きパートナーになれるように努力しています。あなたのファミリードクターとして生涯を通じたお付き合いさせてください。
車の中で、先生は次のような話をされた。
もうずいぶん昔のことですが、ちょっと気難しそうな紳士が歯周病の治療に来られました。歯垢を除去することが先決であると考え、そのような処置をしたのですが、その男性は明らかに物足りなさそうにしながら帰られました。でも今でもずっと、何かあると私のクリニックを受診されています。
まさにライフステージに合わせた治療だと思う。私自身も昔、歯周病に悩まされていた時期があった。私が通っていた歯科医は、歯肉切除というような大胆な処置を施され、口の中が真っ赤になった苦い経験を思い出す。ライフスタイルを重視した根本的な処置をせず、昔の歯科医はすぐに抜歯などの処置に走ることが多かったように思う。私の経験からも、歯科こそ生涯にわたって信頼おけるホームドクターの存在が重要である。
先生はあの3:11の大震災の時に警察署からの依頼を受けて、100例を超える身元不明者の遺体の歯や口の中の状況の検案を行う中で、大きく人生観もかわったという。若くお見受けするが、聞いて見るともう50歳を超えておられる。ただ自らの夢の実現に向かって踏み出そうとする意気込みを熱く語るときには、永遠の夢見る少女と称したいような感を持った。
帰ってから次のようなメールを頂いた。
開業医になり院長をしていると、何かを削いで何かを捨てて生きた方が楽になります
そんなお医者さんや歯医者をたくさん見てきました。大学や病院に勤務していた時は信念が沢山あっても、開業すると信念が減っていきます。気落ちしそうになると、先生のメールが役立っています。
先生のメ-ルの先には、たくさんの現場で踏ん張っている方々がいて、いつのまにか一緒に頑張ろうという気持ちにさせていただけます。震災で100人を超えるご遺体と向き合いながら、地域医療の根源的な有り方を本気で考えることにもなりました。苦労のし甲斐のある新しい課題に、残りの人生をかけてみたいと思っています。
