12月26日の幹部研修会(事業計画作成会)に向けて(2015/12/07)
先日のこのランで、「茹でガエルの法則」について触れた。徐々に温度を上げていくと、カエルは温度の変化に気づかず、気づいた時には手遅れだという戒めの言葉である。日々一生懸命に働いている職員には失礼かとも思ったが、これは自戒の言葉である。自らの人生を振り返ってみても「なるほどそういうことだったのか」と後で気づくことは多いものである。
貞方理事長から「26日の研修会に向けて、何か院長としての所感を述べられたら」との示唆を受けてこの項を書き始めている。
私は頴娃町に生まれたが、いつの間にか南九州市に名称が変更されていた。この変更が南九州病院に勤務していた頃だったので、「南九州という言葉を、勝手に許可なく使って!(もちろん洒落であるが)」と息巻いたし、頴娃茶もブランド力では圧倒的な知覧茶に吸収されるのではないかと危惧した。実際に合併後、知覧町が三町の真ん中であることもあって行政の中心になっている。もともと頴娃町は指宿圏に属しており、指宿市と合併するものと誰もが思っていたが、当時指宿市には多額の借金があったので合併を渋ったのだという話を聞いたことがある(真相のほどは不確か)。統合や合併には、悲喜こもごものドラマがあり全てがうまくいっているわけではないが、統合でしか生き残る道がなかったというのが真相だろう。
このような市町村合併は、「市町村の合併の特例に関する法律」(平成十六年五月二十六日)によって推進されたもので、用意周到に計画されていたのである。目的は「人口減少や少子高齢化等の社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立」とされている。
また最近、企業の合併も新聞を賑わせているが、卑近なところでは鹿児島銀行と肥後銀行の経営統合が行われた。昔なら夢にも思わなかった事態であるが、結果的には時代を先取りしたということで、現時点では両頭取の決断が評価されている。
我々の属している医療界にも、さまざまな大きなうねりが押し寄せてきている。西俣名誉院長が常々警鐘を鳴らされていたことが、現実味を帯びてきている。
昔から大病院が経営の思わしくない小病院を合併していく姿は過去にもあったことだが、大病院同士の統合・合併は噂にはのぼっていても現実味は帯びていなかった。ところが既に日経新聞一面に大見出しで、「病院再編へ、持ち株型」、小見出しで高度医療から介護、地域で分担という文字が躍ったのは2014年3月28日のことである。
そこには、「政府は地域で複数の病院が連携して役割を分担しやすくする仕組みを2015年にも導入する。グループを束ねる持ち株会社のような法人を新設し、大学病院や公立、民間の各病院、介護施設などが傘下に入る。資金調達や仕入れをグループでまとめて運営を効率化し、医療費の伸びを抑える狙いもある」と書かれている。
すなわち地域医療構想(ビジョン)という名のもとに、都道府県は二次医療圏ごとに各医療機能の必要量(2025年時点)を含む地域の医療供給体制の将来のめざすべき姿を提示している。すなわち県知事は、財源(医療費)と医療政策の両方において主導できる力を得たのである。
ここにきて、にわかに鹿児島県でもさまざまな噂が飛び交うようになってきている。大学や市立病院などの公的病院群、そして私たちのような公益法人の病院群などでの再編(垂直統合)の動きである。いつごろどのような形で具体化していくのか私には全く読めないが、グループ化されていくのは世の流れだと思う。さらに鹿児島県では、がんなどの待機手術の可能な病気では新幹線などを利用した患者の県外流出も懸念されており、全県挙げて高度医療のできる、県民(地域住民)に評価される病院が嘱望されている。
より具体的に踏み込めば、2025年の地域医療計画の見通しでは鹿児島県の急性期機能を担う病床は10000床を超える過剰という分析であり、単純計算すると我が南風病院規模(300床クラス)の病院のうち30病院が廃止か、医療機能の変更を迫られるということになる。
そして急性期機能を持つ病床への具体的要件としては、重症度・医療/看護必要度の高い患者の受け入れの拡大、救急患者の受け入れの拡大、在宅復帰率の引き上げ、入院下の術前検査や処置などを外来で実施する、外来の専門化、規模縮小などが考えられる。
そのような病院再編の時代に、法人の経営を担うのは医師ではなくて、きっと知事の任命する中央から天下ってくる経営のプロではないだろうか。それはよく話にのぼるように、全国的に事業を展開している監査法人トーマツなどのような専門のチームかと推察する。
さて統合して効率的な経営を考えるときに誰でも考えることは、業務の効率化である。例えば医療の領域では、二つの法人で同じような診療科が存在したら、地域の信頼を得て患者数が多く、医療の質が高く、医業利益の高い病院(内部留保金が多い)を選択し、その診療科が主導していくことになるのは当然である。複数の病院の統合が現実化した時に、我が南風病院は経営のプロから評価される病院そして診療科であり、個人でありたいと願っている。
もう一つ、医師が念頭に置いておかなければならないのは、医師過剰時代は避けられないということである。現在はまだ引く手あまたの感はあるが、現実には厳しい選択が水面下では始まっている。スキルとやる気のある医師は求められるが、そうでなければ「免許さえ持っていれば」という時代は過去のものとなりつつある。これは当然のことと言えば当然のことで、甘えはどの職種であっても許されない。一人一人がそのような認識に立つ(覚醒する)ことが重要だと思われる。
さて12月26日は当院の将来を考える幹部研修会(事業計画作成会)である。地域の中核的(地域のニーズを的確に把握できる)な、そして高度急性期医療を担える病院として生き残っていくための方策をみんなで考える重要な会議である。江藤事務長を筆頭にして事務部門、さまざまなメディカルスタッフも全力で準備に取り組んでいる。
具体的にいうならば、各診療科で得意分野をより強化して利益(3~8%、本当は10%といいたいところだけど)を確保し、病院全体としてベクトルを合わせて(他科の支援など)臨床研究も推進し、次世代を担える人材を育成する方策を考える研修会にしたいと思う。
当院はみんなの努力で、さまざまな困難な状況を乗り越えて、鹿児島県における消化器疾患や整形外科疾患を中核とした高度急性期病院としての地歩を確立しつつある。もちろん、それらの疾患をサポートするさまざまな診療科や職種が在ってのことである。
今後もなお一層競争の激化していく医療界の中で南風病院は、地域医療をそして県民の健康の担い手としてここ鹿児島の地で護り抜きたいと思っている。全ての医師が主体的に、他人事でなく自身の問題意識をもとに参加して欲しい。
貞方理事長から「26日の研修会に向けて、何か院長としての所感を述べられたら」との示唆を受けてこの項を書き始めている。
私は頴娃町に生まれたが、いつの間にか南九州市に名称が変更されていた。この変更が南九州病院に勤務していた頃だったので、「南九州という言葉を、勝手に許可なく使って!(もちろん洒落であるが)」と息巻いたし、頴娃茶もブランド力では圧倒的な知覧茶に吸収されるのではないかと危惧した。実際に合併後、知覧町が三町の真ん中であることもあって行政の中心になっている。もともと頴娃町は指宿圏に属しており、指宿市と合併するものと誰もが思っていたが、当時指宿市には多額の借金があったので合併を渋ったのだという話を聞いたことがある(真相のほどは不確か)。統合や合併には、悲喜こもごものドラマがあり全てがうまくいっているわけではないが、統合でしか生き残る道がなかったというのが真相だろう。
このような市町村合併は、「市町村の合併の特例に関する法律」(平成十六年五月二十六日)によって推進されたもので、用意周到に計画されていたのである。目的は「人口減少や少子高齢化等の社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立」とされている。
また最近、企業の合併も新聞を賑わせているが、卑近なところでは鹿児島銀行と肥後銀行の経営統合が行われた。昔なら夢にも思わなかった事態であるが、結果的には時代を先取りしたということで、現時点では両頭取の決断が評価されている。
我々の属している医療界にも、さまざまな大きなうねりが押し寄せてきている。西俣名誉院長が常々警鐘を鳴らされていたことが、現実味を帯びてきている。
昔から大病院が経営の思わしくない小病院を合併していく姿は過去にもあったことだが、大病院同士の統合・合併は噂にはのぼっていても現実味は帯びていなかった。ところが既に日経新聞一面に大見出しで、「病院再編へ、持ち株型」、小見出しで高度医療から介護、地域で分担という文字が躍ったのは2014年3月28日のことである。
そこには、「政府は地域で複数の病院が連携して役割を分担しやすくする仕組みを2015年にも導入する。グループを束ねる持ち株会社のような法人を新設し、大学病院や公立、民間の各病院、介護施設などが傘下に入る。資金調達や仕入れをグループでまとめて運営を効率化し、医療費の伸びを抑える狙いもある」と書かれている。
すなわち地域医療構想(ビジョン)という名のもとに、都道府県は二次医療圏ごとに各医療機能の必要量(2025年時点)を含む地域の医療供給体制の将来のめざすべき姿を提示している。すなわち県知事は、財源(医療費)と医療政策の両方において主導できる力を得たのである。
ここにきて、にわかに鹿児島県でもさまざまな噂が飛び交うようになってきている。大学や市立病院などの公的病院群、そして私たちのような公益法人の病院群などでの再編(垂直統合)の動きである。いつごろどのような形で具体化していくのか私には全く読めないが、グループ化されていくのは世の流れだと思う。さらに鹿児島県では、がんなどの待機手術の可能な病気では新幹線などを利用した患者の県外流出も懸念されており、全県挙げて高度医療のできる、県民(地域住民)に評価される病院が嘱望されている。
より具体的に踏み込めば、2025年の地域医療計画の見通しでは鹿児島県の急性期機能を担う病床は10000床を超える過剰という分析であり、単純計算すると我が南風病院規模(300床クラス)の病院のうち30病院が廃止か、医療機能の変更を迫られるということになる。
そして急性期機能を持つ病床への具体的要件としては、重症度・医療/看護必要度の高い患者の受け入れの拡大、救急患者の受け入れの拡大、在宅復帰率の引き上げ、入院下の術前検査や処置などを外来で実施する、外来の専門化、規模縮小などが考えられる。
そのような病院再編の時代に、法人の経営を担うのは医師ではなくて、きっと知事の任命する中央から天下ってくる経営のプロではないだろうか。それはよく話にのぼるように、全国的に事業を展開している監査法人トーマツなどのような専門のチームかと推察する。
さて統合して効率的な経営を考えるときに誰でも考えることは、業務の効率化である。例えば医療の領域では、二つの法人で同じような診療科が存在したら、地域の信頼を得て患者数が多く、医療の質が高く、医業利益の高い病院(内部留保金が多い)を選択し、その診療科が主導していくことになるのは当然である。複数の病院の統合が現実化した時に、我が南風病院は経営のプロから評価される病院そして診療科であり、個人でありたいと願っている。
もう一つ、医師が念頭に置いておかなければならないのは、医師過剰時代は避けられないということである。現在はまだ引く手あまたの感はあるが、現実には厳しい選択が水面下では始まっている。スキルとやる気のある医師は求められるが、そうでなければ「免許さえ持っていれば」という時代は過去のものとなりつつある。これは当然のことと言えば当然のことで、甘えはどの職種であっても許されない。一人一人がそのような認識に立つ(覚醒する)ことが重要だと思われる。
さて12月26日は当院の将来を考える幹部研修会(事業計画作成会)である。地域の中核的(地域のニーズを的確に把握できる)な、そして高度急性期医療を担える病院として生き残っていくための方策をみんなで考える重要な会議である。江藤事務長を筆頭にして事務部門、さまざまなメディカルスタッフも全力で準備に取り組んでいる。
具体的にいうならば、各診療科で得意分野をより強化して利益(3~8%、本当は10%といいたいところだけど)を確保し、病院全体としてベクトルを合わせて(他科の支援など)臨床研究も推進し、次世代を担える人材を育成する方策を考える研修会にしたいと思う。
当院はみんなの努力で、さまざまな困難な状況を乗り越えて、鹿児島県における消化器疾患や整形外科疾患を中核とした高度急性期病院としての地歩を確立しつつある。もちろん、それらの疾患をサポートするさまざまな診療科や職種が在ってのことである。
今後もなお一層競争の激化していく医療界の中で南風病院は、地域医療をそして県民の健康の担い手としてここ鹿児島の地で護り抜きたいと思っている。全ての医師が主体的に、他人事でなく自身の問題意識をもとに参加して欲しい。
