実績 開示義務(2016/02/08)
大病院の実績 開示義務、厚労省方針 受診内容、患者が比較 非公表は診療報酬減
今朝(2016年2月4日)の日経一面の大見出しである。いよいよ競争の時代、患者が選択していく時代の到来である。必ずしもいいことばかりには思えないが、これも時代の流れなのか、という毎朝の私の院内ランに対して、河原先生(国立病院機構八戸病院)が以下のような返事をくれた。河原先生は医師には珍しく、世の中のさまざまな問題に鋭いアンテナを持ち、独特な複眼的な考えのできる先生である。
読みました。いよいよです。経済学では情報の非対称は、サービスを受ける消費者にとってマイナスです。この解消は自由経済では当然です。しかし、日本は医療は皆保険で、自由競争がありません。しかし、考えてみたら皆保険であるからこそ、情報隠しを止めて内容の評価によるボトムアップを図らなければならないとも言えます。つまり日本では、保険医療の均てん化に役立てるのです。もちろん難病医療も同じです。これで在宅療養と入院の補完体制が整う入り口に来たように思います。
そして河原先生と私の共通の友人である福寿司組の中島先生(慶応大学商学部教授、○○の経済学の著者)からは次のようなメールを頂いた。
情報開示によって情報の非対称性が改善されたとき、どうなるか思考実験をしてみると・・・
(1) 実績のある病院に患者が集中する。通常の経済学ではクォリティに高さに応じて価格が決まるため客が集中することはありません。三つ星寿司店のにぎりと回転寿司のにぎりが同じ料金だったら、三つ星寿司店には大行列ができてしまいます。医療には価格メカニズムが働かないため、資源制約のもとではなんらかの数量割り当ての方法を考える必要があります。
(2) 病院の差別化が進む。「何でも屋」ではなく、得意分野への集中的な資源配分が進むかもしれません。そうなると数量割り当ての問題は若干は改善されるかもしれません。面白いテーマですね。
さすがに中島先生、現在の医療界の本質を突いた発言であり、全く同感である。
次に、日経新聞の全文を紹介するが、鹿児島県の医療機関はもっと頑張らなければ、県外への患者流出は加速化することが危惧される。
厚生労働省は2017年度から全国の大病院に治療実績の公表を求める。年齢や進行度別の患者数のほか、診療科や病気ごとの平均入院日数をホームページ(HP)で発表しなければ、病院が受け取る診療報酬を減らす。患者が病院の得意分野を比べて受診先を選びやすくする。病院の競争を促すことで医療の質の向上と効率化を促す。
厚労省は8月にも公表制度の枠組みを決めて10月をめどに各病院に15年度分を発表してもらう。公表しない病院の診療報酬は17年度から減らし、公表する病院の報酬増額に回す。増減幅は今後検討する。対象は公的医療保険から定額の報酬を受け取る病院(DPC病院)で全国に約1600カ所ある。大半は大学病院など重症患者が多い大病院で一般病院の2割、ベッド数では5割を占める。
現在は厚労省のHPで詳細な病院の実績を公表しているが、数百万個の数字が並ぶ膨大なデータのため個人が理解するのは難しい。患者にとってわかりやすい7項目を新たに作り、各病院に自らのHPで発表させる。病院に事実上公表を義務付ける7項目は年代別の入院患者数や胃がんなど5大がんのステージ別患者数などで、患者が受診先を選ぶ手掛かりとする。診療科ごとの主な手術の平均入院日数、診療科ごとの主な症例数なども示す見通しだ。手術前後の平均的な入院日数が他の病院と比べ長いか短いかを患者は把握でき、病院の得意分野を知る手掛かりになる。ただ、重症患者を積極的に受け入れる病院は治療が適切でも入院日数が長くなりがちだ。治療実績の数字だけを公表すると患者が誤解しかねないため病院は実績に対する解説もつける。現在も一部の病院は7項目を自主公表しているが、基準がそろっているか不透明だ。厚労省は7項目の基準を統一し、患者が複数の病院を比べる参考にしてもらう。病院の間に競争原理が働くことで「医療の質が高まることが期待できる」(藤森研司東北大医学部教授)。
情報公開を通じて病院が医療の質の向上やコストの削減に取り組むよう促す例は海外にもある。米国では高齢者向け公的医療保険(メディケア)で3300を超える全米の大病院に対し、NPOを通じて治療実績の公表を義務付ける措置をおよそ3年前に導入した。公表に従わなかったり「再入院が多い」など治療成績が芳しくない病院名をインターネット上で公表し、罰金を科している。日本の今回の取り組みは診療報酬の仕組みを大きく変える可能性もある。今の診療報酬は一つ一つの病気の治療にかかるコストに合わせ決まるのが原則。治療結果は関係しないため医療の質が低くても運営効率が悪くても報酬は同じだ。塩崎恭久厚労相は将来は個々の医療機関の成果を考慮した報酬の仕組みに変える方針を打ち出す。公表制度から病院の治療実績のデータが充実すれば、成果主義の診療報酬に向けた足がかりとなる。 <日本経済新聞160204>
今朝(2016年2月4日)の日経一面の大見出しである。いよいよ競争の時代、患者が選択していく時代の到来である。必ずしもいいことばかりには思えないが、これも時代の流れなのか、という毎朝の私の院内ランに対して、河原先生(国立病院機構八戸病院)が以下のような返事をくれた。河原先生は医師には珍しく、世の中のさまざまな問題に鋭いアンテナを持ち、独特な複眼的な考えのできる先生である。
読みました。いよいよです。経済学では情報の非対称は、サービスを受ける消費者にとってマイナスです。この解消は自由経済では当然です。しかし、日本は医療は皆保険で、自由競争がありません。しかし、考えてみたら皆保険であるからこそ、情報隠しを止めて内容の評価によるボトムアップを図らなければならないとも言えます。つまり日本では、保険医療の均てん化に役立てるのです。もちろん難病医療も同じです。これで在宅療養と入院の補完体制が整う入り口に来たように思います。
そして河原先生と私の共通の友人である福寿司組の中島先生(慶応大学商学部教授、○○の経済学の著者)からは次のようなメールを頂いた。
情報開示によって情報の非対称性が改善されたとき、どうなるか思考実験をしてみると・・・
(1) 実績のある病院に患者が集中する。通常の経済学ではクォリティに高さに応じて価格が決まるため客が集中することはありません。三つ星寿司店のにぎりと回転寿司のにぎりが同じ料金だったら、三つ星寿司店には大行列ができてしまいます。医療には価格メカニズムが働かないため、資源制約のもとではなんらかの数量割り当ての方法を考える必要があります。
(2) 病院の差別化が進む。「何でも屋」ではなく、得意分野への集中的な資源配分が進むかもしれません。そうなると数量割り当ての問題は若干は改善されるかもしれません。面白いテーマですね。
さすがに中島先生、現在の医療界の本質を突いた発言であり、全く同感である。
次に、日経新聞の全文を紹介するが、鹿児島県の医療機関はもっと頑張らなければ、県外への患者流出は加速化することが危惧される。
厚生労働省は2017年度から全国の大病院に治療実績の公表を求める。年齢や進行度別の患者数のほか、診療科や病気ごとの平均入院日数をホームページ(HP)で発表しなければ、病院が受け取る診療報酬を減らす。患者が病院の得意分野を比べて受診先を選びやすくする。病院の競争を促すことで医療の質の向上と効率化を促す。
厚労省は8月にも公表制度の枠組みを決めて10月をめどに各病院に15年度分を発表してもらう。公表しない病院の診療報酬は17年度から減らし、公表する病院の報酬増額に回す。増減幅は今後検討する。対象は公的医療保険から定額の報酬を受け取る病院(DPC病院)で全国に約1600カ所ある。大半は大学病院など重症患者が多い大病院で一般病院の2割、ベッド数では5割を占める。
現在は厚労省のHPで詳細な病院の実績を公表しているが、数百万個の数字が並ぶ膨大なデータのため個人が理解するのは難しい。患者にとってわかりやすい7項目を新たに作り、各病院に自らのHPで発表させる。病院に事実上公表を義務付ける7項目は年代別の入院患者数や胃がんなど5大がんのステージ別患者数などで、患者が受診先を選ぶ手掛かりとする。診療科ごとの主な手術の平均入院日数、診療科ごとの主な症例数なども示す見通しだ。手術前後の平均的な入院日数が他の病院と比べ長いか短いかを患者は把握でき、病院の得意分野を知る手掛かりになる。ただ、重症患者を積極的に受け入れる病院は治療が適切でも入院日数が長くなりがちだ。治療実績の数字だけを公表すると患者が誤解しかねないため病院は実績に対する解説もつける。現在も一部の病院は7項目を自主公表しているが、基準がそろっているか不透明だ。厚労省は7項目の基準を統一し、患者が複数の病院を比べる参考にしてもらう。病院の間に競争原理が働くことで「医療の質が高まることが期待できる」(藤森研司東北大医学部教授)。
情報公開を通じて病院が医療の質の向上やコストの削減に取り組むよう促す例は海外にもある。米国では高齢者向け公的医療保険(メディケア)で3300を超える全米の大病院に対し、NPOを通じて治療実績の公表を義務付ける措置をおよそ3年前に導入した。公表に従わなかったり「再入院が多い」など治療成績が芳しくない病院名をインターネット上で公表し、罰金を科している。日本の今回の取り組みは診療報酬の仕組みを大きく変える可能性もある。今の診療報酬は一つ一つの病気の治療にかかるコストに合わせ決まるのが原則。治療結果は関係しないため医療の質が低くても運営効率が悪くても報酬は同じだ。塩崎恭久厚労相は将来は個々の医療機関の成果を考慮した報酬の仕組みに変える方針を打ち出す。公表制度から病院の治療実績のデータが充実すれば、成果主義の診療報酬に向けた足がかりとなる。 <日本経済新聞160204>
