Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

南日本新聞シニアなるほどゼミナール(5)(2018/05/30) 

そのあと「いのち」の問題として、老年的超越(百寿者)と達観(筋ジス患者)という言葉が、偶然にも相似通っていると思うことなどを話した。
 「超越と達観」という言葉は次のように解釈されます。
 人は健康であることが幸せであるという常識、健康でなければ幸せでないという固定観念があります。でも心身の機能は衰えても、幸福感の高い高齢者は多く、幸福感を保つ「老いのかたち」があります。筋ジス患者にもいえることで、彼らの多くは自分を不幸だと思ってはいないのではないでしょうか。人は残された時間が短くなると、気持ちを安定させる方向に内的エネルギーを使います。人は虚弱になっていく過程で、辛いことでも楽しい事に目を向けようとする心の変化が起きて、辛い現実を受け入れ、適応していきます。無理をしない、何事も自然に任せる「無為自然」の人生観を持つようになります。できなくなるのを嘆くのではなく、できなくなるのは自然なこととして受け止めて、できることを楽しむことで、喪失の中で自分らしさを失わずに生きていく。(権藤恭之さんの論文を参考)。
 筋ジス病棟の回診で「元気ね?」と問いかけると、「元気です!筋ジス以外は」と言う返事に思わず苦笑するものでした。
 高齢者の望むところはPPKだと言われていますが、そのためには健康長寿が一番です。そのためには死因の二つの原因である「がんの早期発見と生活習慣病の克服」が重要とります。生活習慣の改善は欲望習慣との闘い(判っているけど止められない)であること、がんの早期発見にはPETも有用であること(少し病院のPRもさせてもらった)などを話題にした。
 健康長寿の秘訣として、下記のことを挙げた。
 ・社会参加をしており、人の役に立っている
 ・社会的役割を持っている
 ・趣味の団体に参加している
 ・一日で歩く時間が長い
 ・外出する頻度が高い
 ・多少太っている(男性の場合)
 ・睡眠・栄養・休養をバランスよくとる
 ・物事にこだわらず、プラス思考で考える
 ・ストレスはサラッと受け流す
 最後に「元気なうちに家族と死生観について話し合っておこう」と述べたが、具体的にはどのようなことなのかを説明した。
 死生観~自分らしい最期を~
 死ぬ前に考えておきたいこと:最期を迎える場所
 ① 家か施設か
 ② 尊厳死(自然死)
 ③ 死ぬ前にやりたいこと:これまでの人生を振り返る、 やり残したことを考える、    残りの日々の過ごし方を決める
 45分の予定だったが、一時間近くになってしまった。16時に理事長と一緒に大学に新任教授の挨拶に行く予定を思い出して、走って帰ることだった。
 翌日、病院の売店の米倉さんに出会うと、頭の上に〇の格好をしてくれた。講演を聴きに来てくれたようで「良かったよ」というしるしのようでホッとした。