Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

健診模様(51)改善した男性(前)(2019/06/10) 

50代半ばの男性である。カルテには169センチ、70キロ、BMI24.5と記録されている。
   「ちょっと太っていますね、あと5キロほどやせたら、ちょうど標準体重ですが・・・」と言った途端、「26キロも痩せたのですが」と言われた。思わず「聞き間違いかな」と思って聞き返したら、「去年の10月1日から運動と食事で、丁度4か月(2月1日の健診)で26キロ痩せました」と言う。
   詳しく聞いてみると、次のようである。
   「去年の9月26日ですが、会社の保健師にコテンパーにバカにされましてねえ・・・、悔しくて、体重を減らそうと決心しました。昨年の健診の時に、先生に糖尿病だと言われたこともショックでしたが」という。
   ところで血液データは、肝機能すべて基準値以内(昨年2月はGPT59)で、脂質系や糖質系も全て基準値以内となっている。具体的なデータは、中性脂肪106(昨年266)。尿酸5,8(昨年7.2)、血糖98(昨年140)、HbA1c5.8(昨年7,4)である。
   「どのような食事や運動をされたのですか」と聞いてみた。
   「米ご飯はほとんど食べずに、豆腐や納豆にしました。どうしてもお腹が減った時には週に2回ほど、ちょっとご飯を食べました。運動は毎日3万歩、歩きました。最近は2万歩に減りましたが」
   「いやー、参ったなあ。私も万歩計の比べっこで、今まで負けた人はほとんどなかったけど、3万歩とは恐れ入りました。リバウンドしないように、今後も頑張ってください」。
   人間、やればできるものである。
   こちらも50代半ばの男性である。
   健診者が診察室に現れる前に、身長や体重、血液所見などあらかじめ目を通しておく。この方は162センチで58キロ、BMIは21.9とベストな標準体重である。また検査結果も昨年高かったGOT,GPT,中性脂肪がいずれも正常化している。昨年の血糖値は187、HbA1cは7.7だったが、こちらも5.6と基準値に収まっている。
   診察室に入ってくるなり、「だいぶ努力されましたね」と声をかける。にこやかな表情で「一年で10キロ余り痩せました。昨年の健診の時、先生に『立派な糖尿病です』と言われたことがこたえましたね。それから運動、食事と気を付けたら体重が少しずつ減ってきました」と言われる。
   一般的には会社勤めとなると、勤務場所や職種を変えながら少しずつステップアップして行くのは常である。子供が小さいうちは「家族一緒」に異動できても、子供が学校に行くようになると「単身」となる場合が圧倒的に多い。そうなるとついつい、食生活が乱れてくる。肥満で肝機能障害、高脂血症が定番となる。
   もちろん、心がけ次第では克服できている人も多いが。