Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

健診模様(49)検診車(2019/06/06) 

77歳の男性が健診に来られた。誕生日が4月1日となっている。「ご苦労があったでしょうね」と話すと、わが意を得たとばかり「他の同級生に比べて体格が小さくて、かけっこなどビリの方でしたよ」と話される(もちろん逆の場合もあり、超早生まれでも、何ら遜色もなかったと言われる人も多い)。「2日に届け出てくれれば良かったのですが、戦争中で一人でも早く成人に、という思いもあったのでしょう」
   次のカルテの女性の名字が一緒なので夫婦だろうと思い、「同級生だったのですか」と訊ねてみた。すると「私は早生まれになりますので、一級上でした」と言われる。
   さてその女性の既往歴に「がん」と書かれていたので、「どこのがんですか」と聞いてみた。「胃がんで全摘して、この7月で10年になります」という。「10年と言うと、ほぼ無罪放免ということになりますね。よかったですね」と話すと、うれしそうにその経緯を話し始めた。
   「島に住んでいたのですが、ちょうど胃の調子が悪かった時にたまたま農協の検診車が来たので、バリウムを飲む検査を受けました。ところがその4日後に吐血をしまして、島の病院に緊急入院しました。点滴などして吐血も収まったので、南風病院を受診しました。  
   ところが胃カメラの検査で、胃がんがあることがわかり、すぐ全摘となりました」。
   「ところが手術して一月ほど経った頃に、検診の結果が送られてきてびっくりです。なんと『異常なし』ということだったのです。以来、検診車の検査は信頼できないと思って、ここで検査してもらうことにしています」と話される。
   30代半ばの男性、胃カメラを済ませた後の内科診察である。胃カメラの所見に「胃アニサキス症」という病名が付けられており、胃壁面にアニサキスが動いている写真も添えられている。
   「昨日はサバかアジの刺身など食べませんでしたか」と訊ねると、ポカンとしている。しばらく間を置いて、「そういえば昨日の昼、騎射場で海鮮丼を食べました」と答える。「魚がたくさんのっていたでしょう。でもあんたは運のいい人ですよ。今日検査しなければきっと胃の痛みがでてもおかしくないでしょうから」。
   そこで「胃アニサキス症」について説明する。検査された政先生は、麻酔下での検査だったのでまだ説明されていなかったのだろう。後で小さな小瓶に入ったアニサキスを持ってきたが、まだ元気に動き回っていた。
   日曜日にニシムタに行ったが、さすがにサバの刺身を食べる気はしなかった。