Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

長寿庵(2019/03/20) 

PET検診の結果説明での出来事である。
        生年月日をみて私と同じ団塊の世代だと分ると、「どこん中学校でしたか」と聞いて見たくなる。「松元中学でした」と聞いて、「善福寺の長倉さんと同じところですね」から話はひろがった。「病気の再発の所見はない」という検査結果だったので、このような悠長な話となったのである。
         「長寿庵と言いますと、そば屋さんですか」と尋ねてみる。「焼酎を造っています」という。あまり聞きなれない銘柄だったので「そうですか」とつっけんどんに答えたら、「世界国際会議の伊勢サミット、洞爺湖サミット、APECで、日本の代表として限定で出された焼酎です」と切り出されたので心底びっくりした。日本酒の夜、山口の「獺祭」の話はよく聞いたことがあるが、長寿庵は記憶にない。
         「実は、私は駐在所などの警官でした。ところが40歳代で膀胱腫瘍になり闘病生活を送っていたとき、一念発起して焼酎と取り組みました。もともと凝り性な性質で、啓示のようなものを受けて、長寿庵を完成させました。長寿庵とは「長遠なる寿命を尊ぶ」という仏への信仰から「長」と「寿」をとって長寿庵としました」という。
10年の試行錯誤の結果、芳醇で甘い、銘柄「長寿庵」が醸され誕生したのだという。原料と製法にこだわり時間をかけて醸し出されたものだ。それにしてもこんなに短期間にサミットで認められるような焼酎を作り上げたとは驚きでにわかに信じがたい。数年前に亡くなった叔父の相良さんは江戸時代から続く醸造所の9代目で、「死ぬまでにみんなに認められる幻の焼酎を、と言い続けていたが果たせなかった」のに。わずか十数年でそのようなことが可能になるのだろうか。もっとも焼酎の場合、「森伊蔵と白波を並べて、ラベルを隠したら、言い当てられる人は少ない」という笑い話もあるが。
ネットで調べると、この「長寿庵」、ちゃんとしたことのようなので二度びっくりである。どこの代理店に頼まれたのか、ホームページも格好よく収まっている。
        凝り性からくるこだわり、そして運が良かったということか。それにしてもサミットなどで使われたとなると大きなステータスになるわけだが、どうして選ばれたのだろうか。何か基準でもあるのだろうか。いずれにせよ、サクセスストリーであることは確かである。