平成30年度難病支援ボランティア養成講座(中)(2019/02/21)
介護者養成とボランティア:長寿福祉社会実現へ、生きがい、連帯の時代(1994年9月6日、南日本新聞)
1980年、ロンドンに旅する機会があった。街角や乗りあわせたバスの中で多くのお年寄りの姿を見て高齢社会を実感したが、当時のイギリスの高齢化率(65歳以上の老年人口割合)は既に14%を超えていた。あの時から15年、日本は他の主要先進国に例をみない早さで高齢社会となり、医療や福祉の問題が危機感を持って論じられている。
だれしも健康で生きがいの持てる老後を望んでいる。また住み慣れた家の畳の上で一生を終えたいと願っている。しかし、現実には病気になると入院しおむつをあてがわれ、寝たきりになることも多い。
さて高齢者のケアを考えるとき最も重要なことは、介護技術を備えたマンパワーの確保である。科学が進歩しいかにハイテク化が進んでも、高齢者を支えるのは人間であり、人の手である。精巧なロボットでも細かい顔の表情を確かめながら食事の介助はできない。
厚生省もマンパワー確保に本腰を入れつつあるが、出生数の減少に伴う若い労働力の減少や女性の職場進出、三世代世帯の減少もあって計画の達成は困難な状況にある。そこでヘルパーなど公的なサービスの充実とともに、ボランティアの参加が急務となっている。まさに国民総介護者、総ボランティアの必要な時代である。
われわれは昨春、院内に「ボランティア介護大学」を開講した。現在第五期を開講中であるが、家庭婦人や定年後の男性を中心に百四十八人が受講している。毎週月曜日の午後の二時間半の講義と実習で計八回で修了する。
講師は主に当院のスタッフが担当し、講義としては高血圧、脳卒中、心臓病などの成人病や老人の看護や心理、薬の服薬方法、医療福祉制度などで、実習は生活の介助、車椅子の操作、リハビリ、調理から構成されている。
受講後のアンケートでは「祖父の介護のため、自分のためと思って参加しましたが、幅広い専門的な講義を受けて参考になりました。またいろんな人と知り合いになれて嬉しく思います」とか、「子供も手を離れ、いずれ自分も年老いていく今、何か社会に役立つことがあればと思い参加しました」など極めて好評な意見を頂いた。
また受講後、融資の方がボランティア精神で、おむつの整理や作製、入浴介助などにあたる姿を見ると心から頭の下がる思いがする。
日本では従来ボランティア活動と言えば慈善とか奉仕のイメージが強かったが、次第に自分の生きがいとして、あるいは社会連帯、相互扶助へと考え方も変わりつつある。
長寿社会の実現は戦後の経済発展や医療の進歩の金字塔であり、明るい話題であるべきはずなのに「介護地獄」という言葉に代表されるように暗くて不安なイメージがついてくる。
今日の日本の経済発展の基礎をつくったのは、森有礼など薩摩の先駆者による義務教育制度に負うところが大きいといわれている。来るべき二十一世紀が好ましい福祉社会であるために、今こそボランティアを含めた介護者育成が必要な時である(国立療養所南九州病院副院長)
1980年、ロンドンに旅する機会があった。街角や乗りあわせたバスの中で多くのお年寄りの姿を見て高齢社会を実感したが、当時のイギリスの高齢化率(65歳以上の老年人口割合)は既に14%を超えていた。あの時から15年、日本は他の主要先進国に例をみない早さで高齢社会となり、医療や福祉の問題が危機感を持って論じられている。
だれしも健康で生きがいの持てる老後を望んでいる。また住み慣れた家の畳の上で一生を終えたいと願っている。しかし、現実には病気になると入院しおむつをあてがわれ、寝たきりになることも多い。
さて高齢者のケアを考えるとき最も重要なことは、介護技術を備えたマンパワーの確保である。科学が進歩しいかにハイテク化が進んでも、高齢者を支えるのは人間であり、人の手である。精巧なロボットでも細かい顔の表情を確かめながら食事の介助はできない。
厚生省もマンパワー確保に本腰を入れつつあるが、出生数の減少に伴う若い労働力の減少や女性の職場進出、三世代世帯の減少もあって計画の達成は困難な状況にある。そこでヘルパーなど公的なサービスの充実とともに、ボランティアの参加が急務となっている。まさに国民総介護者、総ボランティアの必要な時代である。
われわれは昨春、院内に「ボランティア介護大学」を開講した。現在第五期を開講中であるが、家庭婦人や定年後の男性を中心に百四十八人が受講している。毎週月曜日の午後の二時間半の講義と実習で計八回で修了する。
講師は主に当院のスタッフが担当し、講義としては高血圧、脳卒中、心臓病などの成人病や老人の看護や心理、薬の服薬方法、医療福祉制度などで、実習は生活の介助、車椅子の操作、リハビリ、調理から構成されている。
受講後のアンケートでは「祖父の介護のため、自分のためと思って参加しましたが、幅広い専門的な講義を受けて参考になりました。またいろんな人と知り合いになれて嬉しく思います」とか、「子供も手を離れ、いずれ自分も年老いていく今、何か社会に役立つことがあればと思い参加しました」など極めて好評な意見を頂いた。
また受講後、融資の方がボランティア精神で、おむつの整理や作製、入浴介助などにあたる姿を見ると心から頭の下がる思いがする。
日本では従来ボランティア活動と言えば慈善とか奉仕のイメージが強かったが、次第に自分の生きがいとして、あるいは社会連帯、相互扶助へと考え方も変わりつつある。
長寿社会の実現は戦後の経済発展や医療の進歩の金字塔であり、明るい話題であるべきはずなのに「介護地獄」という言葉に代表されるように暗くて不安なイメージがついてくる。
今日の日本の経済発展の基礎をつくったのは、森有礼など薩摩の先駆者による義務教育制度に負うところが大きいといわれている。来るべき二十一世紀が好ましい福祉社会であるために、今こそボランティアを含めた介護者育成が必要な時である(国立療養所南九州病院副院長)
