Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

ノブレス・オブリージュ(前)(2019/01/28) 

毎年、成人式(今年は1月14日)の日経新聞に掲載されるSUNTORYの伊集院静の小文を楽しみにしている。新成人に対して、いつも的確で心のこもった本音のエールを送っている。
     今年は「ヤンチャでも、困った大人でもかまわない」というタイトルである。
     成人おめでとう。
     今日から大人?そんなことがあるわけがない。私もそうだった。正直、大人なんかなりたくないと思った。
     大人って何だ?それは人生とは何だ?と同じで答などないんだ。なぜ正解がないか?それは十人の大人たちは十の違った生き方で大人になっているからだ。
     面白いとは思わないか?君が選択してどんな生き方をしてもいいんだぞ。そう思わないって?なぜだよ。大人って楽しそうでも、まぶしく見えないって。ハッハハハ。
     それは違う!断じて違うんだ。君の目には、言えないだけだ。
     そこで提案だ。君だけはつまらない大人になるナ。
     ヤンチャでも、困った大人と言われてもかまわない。
     君の身体の中にある夢を、情熱で、君だけの大人を獲得するんだ。その
 個性が活きれば、この国も、世の中ももっとまぶしくなるし、未来がひ
 らけてくるんだ。
     これだけは覚えていて欲しい。真の大人は自分だけのために生きない。
     お金がすべてと決して思わない。品性を得ることは人生の最高の宝物だ。
     いいものだぞ、品性は。
     夢をかなえるには苦しい時、辛い日があるぞ。
     そんな時はどこかで一緒に一杯やろう。君に乾杯。
     おそらく伊集院は「ノブレス・オブリージュ」という言葉を紹介したかったのではないだろうか。私も1月の医局会の時に、この言葉をちょっと紹介したように覚えている。
 「ノブレス・オブリージュ」という言葉は直訳すると、「高貴さは(義務を)強制する」というもので、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指している。
     日本でこの言葉が使われることは少なかったが、最近いろいろな場面でよく聞かれるようになった。例えばビル・ゲイツなどが、社会活動として多額の寄付を行うときの考え方の基本になっている。病院では医師はさまざまな場面でリーダー的立場にあるので、病院の将来に関しても一定の責務を負っていると自覚することを期待したいと思って、あえてこの言葉を紹介させてもらった。