Blog前南風病院院長 福永秀敏先生の雑感

夜バナ(中)(2019/01/09) 

1月4日に米城さん(現在長崎県壱岐病院看護部長で、長年、国立病院機構で筋ジス病棟のある病院の看護部門を担当されていた)から次のようなメールが届いていた。
   昨日、「こんな夜更けにバナナかよ」を観ました。多分先生はすでにご覧になっていることと思いますが、私は、とても良かったと思います。
   「主人公役がどうかな」と心配していましたが、多分ご本人をご存知の方々は満足な出来なのではないかと想像しました。ボランティアの在り方、ボランティアを受ける立場の方、双方の気持ちがよく表現されていたと思います。私もなんだか今まで気になっていたことが、スッキリしたとこもありました。当たり前のことですが、お互い本音で付き合うということが一番だと再確認できました。再春荘病院の筋ジスの方に久しぶりメールをしました。
   私も米城さんの意見に賛成で、全体的には良質のいい作品ではなかったかと思う。医学的には細部では問題点も指摘できるが、特に目立った不自然さはなかった。当初、作者の渡辺さんの心配しておられた障がい者に対する安売りの「お涙ちょうだい物語」にはなっていなかった。監督(脚本家)は原作をよく読みこんでいたと思う。またキャストが素人っぽく、好感の持てる演技だった。
   私はこの映画を観ながら、平成10年に亡くなった轟木敏秀を思い出していた。敏秀も鹿野さん同様に自分のしたいことを徹底的に貫き通す性格で、周りは振り回されることも多かった。当の本人はマイペースというか無頓着で、あまり他人のことには配慮をしなかった(本当は細やかな気配りもあったのかも知れない)。宮崎の「まほろば福祉会」に短期入所することになり付き添って行った時など、着いた途端、かねて好きな女の子が視野に入ると私などには目もくれずに夢中になっていた。「本当にもう!」と思いながらも、「敏秀のことだから仕方ないなあ」と憎めないキャラがあった。
   病棟でもみんなが彼の思いを共有できて、理解するようになり、最初は「今畜生」と思っても、次第に調和できる部分で落ち着いていった。それにしてもあの頃の筋ジス病棟はいろんな面で余裕があったのかもしれない。看護師や保育士は敏秀の指示に従って、パソコンの配線をつなぐことなどに明け暮れていたものである。
   鹿野さんとの違いは、敏秀の場合は基本的には南九州病院の筋ジス病棟で生活しており、鹿野君が毎日ボランティアを探す苦労とは根本的に異なっている。また映画の中で鹿野さんが、「結婚指輪」を唐突に美咲さんに差し出す場面もあった。同じような出来事が敏秀の場合もあったが、彼の場合には心優しい彼女に受け取ってもらったことを懐かしく思い出している。